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    ----------我が愛すべきハンガリーのジレンマ----------
            第77号 2003年2月14日
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   ●雪と氷と塩と砂
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   ハンガリーだけではなくヨーロッパ全域に渡り、今年の冬は例
   年より寒さが厳しいと言われている。先月12日には、ハンガ
   リー北東部のザバルで国内最低気温を6度も更新、マイナス3
   0.9度を記録した。

   しかし肌を突き刺す寒さが連日続くのではなく、日替わり弁当
   のように空のご機嫌は変わる。ちらつく雪の結晶を楽しんだ翌
   日には陽が照り付け、泥々になった雪がはねてコートの裾が泣
   いている。急激に気温が下がると、溶けきらない雪がアイスバ
   ーン状態となり、凍結した道路に滑らないよう最新の注意を払
   うため、行動が狭まれていらいらが募る日が続く。

   “おたくの店先に塩を撒いたら?10kg入りの袋で300フ
   ォリントくらいなのだから。”縁起を担ぐようにお客に助言さ
   れたわけではない。店先の踏み固められた雪が凍結して、アイ
   スバーン状態になっていたからだ。雪とは縁遠いアラブ系の経
   営者は、ハンガリーに来て2年目の冬で、スタッフとお客に指
   摘され雪国ならではの生活の知恵に感心している。

   1987年以来の先週の大雪には、除雪車や除雪作業員が昼夜
   を問わずフル活動を続け、大忙しであった。ハンガリー東部・
   北東部では、大雪と瞬間最大風速時速80km以上の猛吹雪に
   襲われ、多くの村が外界と遮断されてしまった。ブダペスト市
   内の建物が少ないドナウ側沿いで、まともに目を開けていられ
   ない程の吹雪を体験したが、表層をさらう強風に引き起こされ
   た白い砂嵐が、紙やすりで擦るように素肌を痛めた。救助隊に
   より町を結ぶ道路の除雪作業が160ヶ所以上行なわれたが、
   先週末の時点で、15の村の1万4千人以上が遮断されたまま
   の状態であった。ハンガリー全土におけるこの冬の状況は、報
   道、統計からみると厳冬になる。

   ブダペスト市はゴミ処理などを行う会社(FKF)に、道路の除
   雪・凍結防止を依存している。毎年11月中旬から3月中旬ま
   での間は気候の急激な変化に備え、24時間体制で作業員が待
   機し、降雪情報を元に雪掻き・除雪を行なっている。先週初め
   の夜半から降り続いた大雪も、市内主要道路のうち約1200
   kmにわたって除雪・凍結防止作業が行われた。翌朝までには
   既に、主要車道において、時速40km以上の走行が可能な状
   態にまで回復した。

   観光客で賑わうヴァーツィ通りなどの歩行者専用道路では、オ
   レンジ色のジャケットを羽織ったFKFの作業員が、人海戦術に
   よって道をきれいにしている。店先では、店主が凍結防止のた
   めに業務用の塩を撒いている。業務用が足りなくなれば、躊躇
   なく食卓塩を歩道に振りまく。歩道に面する建物の住人(主に
   管理人)の雪掻きに使用される塩も、バケツからこぼれんばか
   りだ。ハンガリーに来た当初、撥水・防水性の革靴で闊歩して
   いたが、靴の表面が乾くと瞬く間に白い塩の結晶に覆われてし
   まい、大変閉口した。

   雪が止んで丸一日経てば、効率のよい除雪システムのお陰で、
   生活には殆ど不自由しない。大通りに限って言えば、困難を伴
   わない程度に通行が回復する。

   除去された雪は何処へ行くのか?“天から”の落し物は自然に
   還せとばかり、その多くは市内を縦断するドナウ川沿岸、若し
   くはそのままドナウ川などに流され、市街地ではマンホールを
   開けて直接下水道へ。塩と滑り止めに使用された砂と共にだ。

   ブダペスト市内の除雪を委託されている企業、FKFだけで、毎
   年道路の凍結防止に1000立方メートルもの塩が使用される。
   建物周辺の住人が使用する塩の量を加味すれば、膨大な塩が道
   路や下水、河川に放出されていることが伺える。

   冬の厳しさではハンガリーよりも筋金入りの北国では、環境へ
   の影響を考慮して不凍液の開発、ロードヒーティングなど新技
   術が導入されている。雪の凍結防止に主要に塩や砂が使用され
   るのは、最も安価で、1km当たりの道路のメンテナンス費用
   が低く押さえられるからである。中・東欧圏でもハンガリーの
   除雪費用は他の中・東欧圏と比較しても低く、先進技術導入を
   望むべくすべもないのであろう。

   毎年のことだが、今年も環境への塩害問題が採り沙汰された。
   観光客にも名高いブダペストの温泉、市民の飲料水は地下水に
   依存している。ペットボトルのミネラル・ウォーターを発売し
   ているいくつかのメーカーは、市内の地下水から汲み上げてい
   る。今のところ目に見えての影響は出ていないが、高まりつつ
   ある環境問題への関心が、塩害により引き起こる影響を黙殺し
   たままにすることはできないだろう。冬が来れば思い出す、道
   路と靴とドナウ川が傷む季節だ。

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   前回地震のことを書いたからではないですが、節分の日の午後
   8時32分、オーストリアを震源としたマグニチュード3.4
   の地震が発生。オーストリアに近い町では、小さな揺れを感じ
   たそうです。

   ■ハンガリーの地震

   ユーゴスラビアの名称消滅のニュースが、イラクへの攻撃がカ
   ウントダウンのニュースに掻き消されてしまっているようです。
   ユーゴの国会では4日、新憲法案を採択し、連合国家、セルビ
   ア・モンテネグロと名称を変えました。

   ■ジレンマ番外編・バルカン半島 1234

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    ★★★★★Szagamiのぶらぶらブダペスト散歩★★★★★

   ●市内を走るトロリー車内では、割増料金を払って乗車券を運
   転手から購入できます。地方から来たと思しき女性がその旨を
   運転手に尋ねたところ、“これが見えないの?”と指差したの
   は、運転手への話しかけ禁止のマーク。では実質上買えないの
   か?

   ●先日92歳の誕生日を迎えた母と同居している、友人宅へ遊
   びに行ってきました。おばあちゃん、とてもお元気で、一緒に
   赤ワインをちびりちびりと。毎晩一杯の赤ワイン、今日は二杯。
   相変わらずいい飲みっぷりでした。

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