ブダペスト/サーカス劇場
     2005.Oct.26

子供に夢を与え続けて100年余り

 夏の暑さが昨年より厳しくなく、非常に過ごしやすい日々が続く今年のブダペスト。木製ジェットコースターで有名な遊園地でのんびりしようと思い、英雄広場近くのヴィダーム・パーク(遊園地)へ向かいました。時計はもうすぐ3時を知らせる頃、英雄広場にあるファイン・アート博物館、動物園を通り過ぎ、遊園地へとまっしぐら。ところがその一歩手前で常設サーカス前でピエロに扮した楽器演奏者達に遭遇、ちんどん屋の如く物悲しい呼び込みが、遊園地への歩みを止めました。いつもの旺盛な好奇心(野次馬根性という?)で建物内に冷やかしで入ると、あと10分でサーカスが開演するとのこと。急遽予定を変更、気が付くとチケットを購入しているSzagamiでした。どうやら動物のショーがメインのようです。

 何となくワクワクした気分で、近代的なコンピューターによる処理で受付からチケットをもらい、係員に席まで案内してくれました。どの席に座っても舞台を丸ごと見渡せるほど会場はこじんまりと小さい。夏休みということもあってか、大人の娯楽にはならないようで観客は親子連れが中心。ざっと250人程の入りで、上の方は空席が目立ちます。生のサーカス見物など、小学生の頃に木下サーカス以来。場内のこの広さを見てもう一度読者の皆様に宣言、“期待はしない”が、この胸に自然と湧いてくるワクワクは何でしょう。音楽の小音響と共にライトアップされた中心には、20人ほどの団員が勢ぞろいしました。 

サーカス団登場!
 

 まずは馬のショーから。“期待していない”ために、適度な心地よさでショーを楽しめます。その後女性団員のフラフープ、道化の寸劇、台上のアクロバット、ダチョウやワラビーの駆けっこなどなどのショーが披露され、ほのぼのとした雰囲気を満喫させてくれました。“動物ショー”と謳っている割にはちょっとお粗末、と思った瞬間、やってくれました。7メートル以上のニシキヘビが5人の美女に抱えられて姿を現した辺りから、看板のお題目通りに。観客の大きな溜め息と共にカバさんまで登場。台の上に乗っかって、大きな口を開けてのご挨拶、団員に丸ごとキャベツをもらって、むしゃむしゃと噛み砕いていました。

 駄目押しでびっくり登場がシロサイさん、立派な角と共に威風堂々とした態度に感服。小さな場内を駆け回るその背中に、男性団員が乗馬ならぬ乗犀(サイ)。どう考えても隣の動物園からの“出向社員”です。繁殖力が低く世界でも数千等しかいないシロサイが、子供達とSzagamiを喜ばせるために汗水流して働いています。
ぞうさんの演技
 この後の空中綱渡りの演技中、またまた会場内が動物臭くなってきました。そう、大きなぞうさんが2頭、舞台裏におとなしく控えておりました。彼らの見事な演技の後、15分の休息。ホールに張り出されている、過去に活躍した団員やお動物さん達の写真とプログラムを一通り眺め、場内に戻りました。この常設サーカス団は、1889年からの由緒正しい歴史を誇っているようです。舞台ものやトーキー映画位しか楽しみが無かった時代から共産時代まで、僅かな娯楽を求めてサーカスに通う観客で連日賑わっていたのでは、などと思いを馳せてしまいました。

 さて、短い休息時間中に空中ブランコや安全ネットが設置され、後半の催し物の準備が着々と進んでいます。やはりサーカスの花形でしょう。鍛え上げられた筋肉隆々の3人の厳ついお兄さん達が、全裸かと思われるような肌色の滑稽なコスチュームで登場、羽根を背中につけて金髪カールのカツラをかぶっていることで、辛うじて天使の恰好をしているということがわかります。狭い場内と低い天井のため、空中を飛ぶお兄さん達の迫力はなかなかでした。

 全てのショーが終わり、ホール階下ではバンドの音楽と共に、今しがたまでショーで活躍していたお兄さん達や姉さん達、そして団長さんと動物使いが観客を紙吹雪で送り出してくれました。子供達は先程までスポットライトを浴びていたスター達と握手をしたり、一緒に写真を撮ったりと大満足。子供達に大きな夢を与えたようです。


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