パンノンハルマ Pannonhalma
   2005.Oct.

ラベンダー香る聖マルトンの丘で学ぶ修道士達

 1996年12月に創立1000年と重なりユネスコの世界遺産に指定されたパンノンハルマは人口わずか3600人の街。ウィーンとブダペストの中間に位置し、6-7月には修道院がそびえ立つ聖マルトンの丘周辺に植えられたラベンダーが一斉に香りを放ちます。学修上歴史的にも非常に重要な建築物のため小学校の遠足のメッカでもあります。さしずめハンガリーの箱根、京都というところでしょうか。

交通:

ブダペスト東駅より電車でジョールGyőrまで142km、ローカル線に乗り換えて21km。ブダペストから車で144km。

電車、バス共に毎日運行。電車の所要時間ICでジョールまで約1時間25分、ジョールから30分。

バスはM3 ネープリゲト NepligetからジョールGyőrで乗り換え。ジョール駅前のバスターミナルからパンノンハルマ行きもあり。ただし1日5本しかないので時刻表要確認。 
 

パンノンハルマ修道院
パンノンハルマ修道院(Pihenさんより写真提供)

田舎の景色も楽しまなくちゃ

 ローカル線でパンノンハルマの駅に到着したら、市内バスやタクシーなどをあてにせずのどかな田舎の景色を背後に丘の上の修道院目指して歩きましょう。ゆっくり景色を楽しみながら歩いても40分くらい。世界遺産に指定されたところだけあってすばらしいパノラマが広がります。観光客用の駐車場を通り過ぎたらあと5分くらい。大型バスで到着したよぼよぼの団体さんもひいふう頑張って坂を上がっています。ジョールGyőrからバスで来た方は修道院の目の前に到着。

内部はグループ見学で。

 チケット売り場は正面左手の建物。修道院の内部見学はガイド付きで毎日行われますが、シーズン中そこそこ人数が集まったら出発することもあります。見学前に1997年秋に取り付けられたユネスコからの世界遺産認定プレートの前で写真をぱちり。内部見学が始まったらグループからはぐれないように。

 修道院の中庭は手入れが非常によく行き届いています。ここは現在でも修道士たちが共同生活を送り、神学を学ぶ学生たちが寮生活をしている厳粛な場所です。夏場には説明をはしょりながらフル回転で働くガイドさん達を助ける学生たちの姿もあり、はにかみながら説明する様は何とも初々しい。

 この修道院は996年聖イシュトヴァーンの父ゲーザGézaによって創立され、以後度重なる修復と改築が行われてきました。初期の修道院部分は新しい壁に埋められていることが確認されていますが、現在目に触れることのできる部分は1224年に作られたものになります、とガイドさんの簡単な歴史の説明後、パンノンハルマの街が一望できる所まで案内されます。修道院を中心に広がる街の景色は絶景で、晴れていれば右手にジョールの街を望むこともできます。

ローマ法王も訪れた

 内部に入り、一番最初に目に入るのはハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフの皇太子ルドルフのお妃シュテファニーがこの修道院に寄贈した聖母マリア像の壁に掲げられた絵。このくらいの絵ならヨーロッパのどんな美術館でも見れると思ったあなた!穴があくほどよく見てください、実はこの絵、宝石類でできたモザイク画なのです。さらに教会内部へ進みます。1224年に作られた柱の模様が全て違うのに注目。また柱の基石に彫られたカエル、トカゲやサンショウウオの彫刻なども必見。ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が1996年に訪れたとき祈りをささげた聖イシュトヴァーン礼拝堂のステンド・グラスもまたしかり。

シュテファニーが眠る地下室 聖イシュトヴァーン礼拝堂
シュテファニーが眠る地下室
聖イシュトヴァーン礼拝堂

 1933年発掘調査で見つかったキリスト像の壁画もちょっとしか見えずもったいぶっている所がいかにも興味をそそるのですが、1446年に回廊を継ぎ足したときに埋められてしまったので全部掘り起こしてしまうと天井が崩れ落ちてしまう可能性があるとのこと、残念・・・

立派な図書館にため息がもれる

 もう一度外に出て最後の図書館部分に行きます。入り口の小部屋部分には図書館秘蔵の証文の精巧に作られた複製などが展示されており、その中にはハンガリー語の文字が記されたものとしては最古の証文もあります。この図書館、修道院に付属するものとしては世界最大規模。蔵書も36万冊を優に越えております。この図書館現役で使われており、国内はもとより海外の大学や研究者から資料の要請があるとコピーして送ってくれるとのこと。 

中世のパンノンハルマ修道院
中世のパンノンハルマ修道院
 
修道士も現代っ子?

 らせん階段を下ると修道院所蔵の宝物や絵画が展示されており、ここでガイドさんとはお別れ、ゆっくりと展示品を見ることができます(ついでにトイレもここでゆっくりと)。修道院のあるここ聖マルトンの丘で育ったラベンダーから作られたラベンダー・オイルも販売されています。旅の思い出としていかがでしょう。

 さて修道院を出たら矢印に従わず左の方へ建物沿いに歩いていきます。小さなグラウンドでスポーツをしている普通の顔に戻った神学生たちを見れるかも知れません。

 偶然にも山道で修道服を着た若い修道士が隠れながらチュッパチャップスをなめているのをこっそり見てしまった時は、笑いをこらえるのが必死でした。そのきょろきょろしながらなめている姿は、中世に清貧が美徳と考え、その教えを守れず俗物化している修道士と何ら変わりがないのでは?私はそんな“苦行”はできませんのでパンノンハルマ産の白ワインを楽しんだのでありました。


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