ヴィシェグラード Visegrád
   2005.Oct.

要塞正面

城の入口(Pihenさんより写真提供)

ドナウ一眺めの良い所

ドナウベンド(ドナウの曲がり)のエステルゴムと、センテンドレの間に位置する要塞・宮殿跡の残る小さな街。風光明媚な景色と心地よい風に吹かれて、中世の栄華に思いを馳せてみてはいかが?

交通:

ブダペストM3 アルパード・ヒードArpád hídのバスターミナルより、若しくはセンテンドレ経由ヴィシェグラード・エステルゴム行きバスで1時間20分。

華やかし時代は過ぎ去りし昔の彼方

 ブダペストよりバスで約1時間20分、進行方向左手の丘の頂上に、ヴィシェグラードの要塞が一瞬横切ります。うっかりしていると通り過ぎてしまうほど地味な街。

 ドナウ川沿いの小さな城門を潜ると、ヴィシェグラードの街に到着です。要塞のある丘に昇る前に、まずはバス通りと平行に走る一本奥の中央通りFő utcaにある、王宮跡地を訪ねてみましょう。

 14世紀から増改築が脈々と続いてきた王宮跡地。マーチャーシュ王の時代に、イタリアからルネサンス・スタイルが導入され、350室を揃え、贅沢の限りを尽くした装飾が施されていたとのこと。その後、残念ながら16世紀トルコ軍の侵攻、ハプスブルク家統治からの独立戦争などによって、徹底的に破壊されてしまいました。1934年に建物の一部が発見されたため、本格的な発掘調査が開始され、長い間忘れ去られた栄華を誇った時代が今甦ろうとしています。

 現在も修復中のこの宮殿では、毎年7月第2週の週末に、ハンガリー版流鏑馬(やぶさめ)大会が開催されます。

 王宮を見学した後は、待ちに待った要塞見学。丘の頂上まで、軽い運動気分で木々の間を昇ってもよし。山道を突っ切る近道は、Szagamiの早歩きで約20分。(但し人気がないので、一人で行くには要注意。)緩やかに曲がるドナウ川を眺望しながらの景色は、風光明媚の一言です。

 徒歩に自信のない人は、レーヴ通りRév utcaのインフォメーション・センターか、川沿いのホテル・フロントからタクシーを呼んでください。ぐるりと丘の裏側を回っていきます。駐車場に到着したら、ゆっくりと坂道を上がって入口へ。狭い急勾配の階段を上がって要塞内に入ります。

 古代ローマ帝国は、既にここをポンテ・ナヴァタと名付け、要塞を築いていました。13世紀になると、ヨーロッパを震撼させたモンゴル軍がハンガリーに襲来、1242-1243年にかけて国土を蹂躙しました。その恐怖心から、ベーラ4世がヴィシェグラードに強固なこの要塞を建設することに。

 要塞内部で公開されているいくつかの部屋では、蝋人形や実際の器具を使った中世の拷問の様子、当時の生活の様子や動植物の紹介などが展示されています。ゆっくりと一周した後は、シャラモン塔へも足を延ばしてみましょう。

体験記: 騎馬隊達に煙にまかれてタイムスリップ 2002年7月13日

1985年から恒例の“ヴィシェグラード国際王宮競技Visegradi Nemzetkozi Palotajatekok”第18回目が、連日のうだるような暑さとはうってかわって、久しぶりの薄曇と湿気の中、7月12-14日に開催されました。

 毎年7月2週金曜日から週末にかけて行われる、ハンガリーで“最大”の騎馬祭り、しかもカルパチア山脈からやって来た騎馬民族であることをいつもハンガリー人が誇りに感じていることを掛け合わせても、“お祭り度”の規模に半信半疑であった Szagami。学園祭以上の盛り上がりの期待を持たないよう心して、アルパード橋からヴィシェグラード行きのバスに乗りました。バスターミナルでの増発バスの手配は、乗客の列の具合を見ながらというのんびりさ。増発案内も係員のおばちゃんが、“次のバスが来ますので、皆さん怒らないでお待ちを”と大声で叫ぶ程度。

 催物の特設会場は、カヌーや水中翼船が行き交うドナウベント目の前にあるヴィシェグラード王宮中庭。簡易ベンチが階段状に設けられています。入口前のチケット販売ブースで入場券を購入(大人800フォリント)。朝の8時半前には到着してしまった Szagami、会場周辺に出店されている土産屋や屋台をぐるりと一回りしましたが、まだ殆どが準備中。ヴィシェグラード市が主催し、大手企業が提供・協賛しているのに関わらず閑散とした様子。王宮背後に広がる鬱蒼とした木々の間を抜ける風の音と、丘の上にそびえ立つ要塞のロマンチックなハーモニーとはうらはらに、寂しさが漂ってきたのが正直な気持ち。 

 
騎馬隊勢揃い

 早々と特設会場に入り、眺めの良い場所を陣取り待つこと約30分。9時半を過ぎる頃、元気のある鼓笛の響きと供に、中央通りを行進してきた中世の兵隊、王侯貴族、聖職者のいでたちをした主役達が、続々と会場に入場してきました。勇ましい太鼓の音が Szagamiのボルテージのスイッチをオンに。
 
 ハンガリーだけでなく、近隣諸国であったスロバキアやポーランド、イタリアの紋章の入った旗を手にしている外国人団体も。銅製の鎧をつけ、斧や刀を手に振りかざした中世騎士、大きく胸の開いたドレスを身にまとった淑女達も、別の入り口から馬で優雅に入場。王宮中庭に本日の出演者達が勢揃いし、待ちに待った各競技の開会宣言が仮設舞台上から、1330年にヴィシェグラード王宮を建設した、ローベルト・カーロイ王Róbert Károly扮する役者によってなされました。馬の闊歩で乾いた芝生の合間から、もくもくとあがる砂煙にまかれて、中世にタイムスリップ?
 
 開会宣言の後、一世紀前にハンガリーにやってきたような筋肉隆々の7人の馬上の騎士達が、会場を斜めに横切り、的に向けて槍を投擲していきます。見事なまでに次々と命中。続いては、馬上弓道12時間ラリーでの最高得点世界記録保持者カッシャイ・ラヨシュKassai Lajosのハンガリー版流鏑馬。的は大き目ですが、馬上から連続で弓を射つ集中力。失敗すれば、的を支えるアシスタントに矢が貫かれてしまいます。自己の持つギネスブック公認の記録を今年5月に更新したばかり。50本以上放ち、外したのは僅か4本という正確さ。
 
 鷹匠の登場や、子馬に乗ってにわとりで鷹匠のまねをする道化師、イタリアからの鼓笛隊達の旗のショーなど、緩急を入れた微笑ましい催物が続いた後、拳闘士の戦いが披露されました。立ち回りの台本があることが予想されても、重い剣や金属製の武器を振りまわす様子は見ているこちらも冷や冷やもの。鎧や盾や矛がぶつかり合う重く鈍い音が、観客の歓声と共にこだましました。その次に登場した馬上での一騎打ち、槍に突かれて馬から転げ落ちる負けた騎士を、お付きの家来が場外に運び出すなどの細かい演出などで、朝の閑散とした寂しさなどどこへやら。

つんざく大砲の音で開戦された、プログラム最後のミニ・ミニ戦争の再現。捉えられた敵国の主将がずた袋に入れられ、場内を馬で引きずりまわされました。約1時間45分の演目に夢中になり、すっかりご機嫌なSzagami。VIP専用席は何と会場の一番端に設置されており、お馬さんや騎士や淑女のおしりばかりをみるはめになったVIP達。外では、2回目の演目を待つ人でごった返していました。網の上の子豚の丸焼きを横目に、ビールで古き良き時代に“乾杯!”  


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