ザ・オークション02
     2005.Nov.

 再びオークション会場へと足を運んでみました。今回のレポートはカメラのオークションから。

 主催者は、ブダペストのカメラ・マニアの味方の専門店。カメラやフィルム、現像の販売はもとよりアンティークカメラや中古カメラ、それに付属するオプショナル機器や特殊フィルムまで扱っており、更にはメンテナンスまで行っているカメラ屋さん。東欧圏ならではの珍しいカメラや既に西側で価格が高騰してしまった銘機などが、入り口両側のウィンドウにところせましと並んでいます。観光客もよく足を止めて物欲しげに眺めている穴場的存在。

 年に数回行われるオークションの日程が近付いてくるとリスト化されたカタログが店内で販売されます。その後は出品物が一週間ほど店内にて展示。奥の狭い部屋でじっくりとカタログを片手に棚を覗き込んでいるプロやマニア達に混じって物色。今回はアンティークのステレオ写真に目をつけました。2つのレンズの付いたカメラで撮影をして現像した写真を双眼鏡みたいなもので見る3D写真。8枚セットが2000フォリントから、4箱セットが4000フォリントからで価格もお手ごろ。双眼鏡自体は4000フォリントと7000フォリントが出品されるようです。以前ハンガリー人の友人宅を訪問した際に見せてもらったものと同じで、それこそ見事なアンティークに、“これ譲って”と喉元まで出かかった台詞をなんとか我慢しました。友人宅の写真はスライド・ガラスの上に現像されたもので、そこに写っている70年以上前に20歳だった美人の本人と一緒に双眼鏡を覗きました。

 それ以外の出品で興味深いものは、ハンガリー産カメラ“モメッタ”や100年以上前の携帯用顕微鏡など。残念ながらライカはハンガリーでも見つけることがなかなか難しくなり、今回の出品リストには一台も発見できませんでした。

 さて、オークション本番は国会議事堂に近いビルの一室にて。会場は共産時代特有の箱型・官僚型・画一的な建物。会議や公演などに使われていると思われる会場は、映画館のような椅子と舞台の配置のため、出展品も競り合いの興奮も前の人の頭に邪魔されずに見れるというなかなか快適な場所でした。オークション開始まで15分、店内ですれ違ったマニアよりもっとひとくせもふたくせもありそうな人達がぞくぞくとやってきました。いつも忙しく立ち回っている店員達も今日はスーツ姿でシックな出で立ち。

 落ち着いた競売者の口調で開催の挨拶がされ、ごくごくクールにスタートが切られました。常連さんや業界の顔見知り同士が会場中に散らばっているようで、競り落としてはお互いにニヤリとしながら声をかけあっています。

 今回の上昇率ナンバー・ワンはマニアには貴重らしいカメラのカタログ。2000フォリントから始まってあっという間に数万フォリントまであがり、20倍の40000フォリントで落札。競り落とした若い女性も落札した喜びより、予想以上に値上がったことに落胆していた様子。私が狙っていたガラスのステレオ写真もあれよあれよという間に倍々で値段があがり、とんでもない競り値となってしまったので途中で断念。競り上がる値段と品物の価値とお財布のバランスが興奮の雰囲気の中で冷静に見つめられなくなってしまうことに気を付けないと、オークション・プロではない者は後で泣くことになってしまいます。なんといってもプロがぞろぞろいるのですから。そして品もお値段も本日の目玉は、ウィーンで作られた顕微鏡。

 手入れが行き届いている綺麗な顕微鏡と箱、そして箱の中にきれいに整とんされている付属品接眼レンズには最初から目をつけていた数人の競り者により白熱な闘いとなり、見ているだけでも興奮の渦の中に巻き込まれていきました。

 安いもので“競る”という行為を楽しんだり、本当に欲しいものを相手の出方を見ながら勝負に出たりと、オークションは物価の安いハンガリーならではの娯楽の一つになりました。 


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