国勢調査
    2005.Nov.

我が家に国勢調査がやってきた!

 10年に1回の国勢調査が2001年の2月1日から21日にかけて行われました。今年に入り、調査についての説明がニュースの報道や各家庭に送付されたちらしで知らされました。ハンガリーでの国勢調査は私にとって始めてのこと。ちらしを見るとWebサイトのアドレスまで標記されている。1870年から始まった国勢調査、インターネットでの告知に時代の流れを感じます。

 そんなある2月の上旬、私の住む建物の掲示板に調査員の来る日程のお知らせが貼られていました。外国人には関係ないと思っていたのにある日、突然玄関のベルの音が。

 “自治体の方から参りました・・・怪しい者ではありませんのでドアを開けていただけませんか?”自ら怪しい者ではないという輩ほど怪しいことはない。恐る恐る玄関を開けると眼鏡をかけたおばさんがいきなり何かの身分証明書を突き出してきた。

 “ワタシアヤシクナイヨ、コレショウメイショ、ミンナシラベル。”

 我が家にも国勢調査員がやってきた!

 事前に建物の管理人から私の個人情報(日本人だとかいつ頃引っ越してきたとか)を聞いていたようだ。おばさんのハンガリー語がたどたどしくなってしまったところを見ると外国人の調査対象(しかも東洋人は初めてだったらしい)にいざ面と向かってみて舞い上がってしまったようだ。横にはのっぽの男の子が立っている。調査をスムーズに行う使命感に燃え、ドイツ語と英語を操る息子をひっぱり出してきたとのこと。中心地には多くの若い外国人が住んでいるのだが・・・

 自分にとってもこんな機会は滅多にないので、逆に彼らを調査してやれと思い部屋にあげた。国勢調査員調査票はB4サイズの見開き8ページ。質問項目を簡単に列挙すると、住所、性別、生年月日、出生地、国籍、家族構成、職業などなど。日本は項目によって申告義務があり、虚偽の申告をすると法律で罪に問われる。ハンガリーはどうだろう。調査票を覗き込んでみると氏名欄や住居の床面積などの記入欄がない。学歴と専門職の項目に関しては、ハンガリーと日本の学校制度の違いで調査員の理解に手間どう。日本の中学校って何?ハンガリーではこれにあたる、などと説明してもなかなかわかって貰えず、結局“いい、これで、適当適当、卒業の年さえきちんとしていれば”と記入する始末。国勢調査の信憑性が怪しくなってきた。こちらとしては、なるべく正確な情報を与えることにご協力したかったのだが。

 最後は使用可能言語、宗教を答える項目があったが、これは回答拒否をしても構わないらしい。それでも番地抜きの住所と性別以外は任意の質問事項だった。

 ちなみに日本では80万人もの調査員が一人あたり約50世帯を担当するが、ハンガリーは調査員動員数は2万人で調査票一部で4人まで記入できる日本と異なり一人一部づつであった。調査員にかかる労働比重は、人口対比の単純計算で3倍以上になる。多くの仕事量をこなすために自ずから調査がいい加減になりがちなのも理解できる。

 最後に和んできた頃を見計らってこちらからの質問をぶつける。陸続きの国だと不法滞在者が多いが、ハンガリーに住むこういう住民もカウントにいれているの?答えはイエス。細かい住所の番地は書く必要がないし、パスポートも身分証明書も提示する必要がない。但しご丁寧にこんな細かい調査票に答えてくれる不法滞在者が存在するのだろうか?

 3月現在で調査対象から9割以上の調査が取れたことを推測すれば、恐らく多くの不法滞在者がこの調査に“協力”したのだろう。

 調査員も調査対象人物から思わぬ質問を受けて、つい口をすべらした。“不法滞在者でも問題ないですよ、私には関係ないことですから。”


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