革命記念日
    2005.Nov.

ハンガリー首相オルバーンと共に行進?

 3月15日は革命記念日で祝日。歴史に刻まれる重要な事件が起こった日で国を挙げての催し物が行われ、自分の祖国・民族を再認識するときでもあります。

 ブダペストに住んで以来、民族高揚時の場には排外主義などの危険分子とぶつかる可能性を考え、外出を控えておりました。

 しかし革命記念日のスケジュールが掲載されている街中のポスターを眺めていると、ハンガリーの独立への欲望とはいかなるものだったのかを肌で感じたいという気持ちが沸き起こって来ました。今年はスケジュールに従ってハンガリー人と一緒に行動するか。

 何に対して起こった革命かというと、ハプスブルク帝国統治時代遡ること1848年の3月15日、政治犯の釈放と言語の自由、検閲廃止などを含んだ12の要求を詩人であり革命者であったペトゥーフィ・シャーンドルが帝国につきつけました。場所はブダペストの国立博物館前にて。1万人もの群衆が集結しました。

 その後各地で革命が飛び火しましたが、残念ながら最終的にハプスブルクの正規軍によって鎮圧されます。外国人として中立的立場から物申せば、ハンガリー人にとっては名誉の革命、統治していたオーストリア側から見れば謀反(反乱)。

 この日の大きなイベントは国会議事堂でのパレード、国立博物館前で行われる革命の様子の寸劇、ペトゥーフィ・シャーンドル銅像前での演説やダンスでした。

 まずは9時半から始まる国会議事堂前のパレード見学へ。議事堂前周辺の道路は完全封鎖、9時前に到着しましたが、既に多くの人で道路は埋まっていました。久しぶりに晴れ上がった空にハンガリー人と共に感謝!ハンガリー国旗を大量に持っている若者たちとすれ違い、このように民族意識が高揚する日には国旗が似合うと思った瞬間に“ひとつ150フォリント!”と言われてちょっと興ざめ。  

行進

  人混みの中でしばらくいい場所を探していると国会議事堂正面入り口できれいに配置されたブラスバンドが演奏し始め、軍隊の一群、続いて騎馬隊がその雄姿を現し始めました。さらに議事堂の奥の方から随分と畏まった一団がやってきました。あっ、ハンガリー首相のオルバーン・ヴィクトル!まるでジャングルの中で野生動物を見つけたように興奮。ほんの一瞬でしたがあれは確かに彼。しかしセキュリティーの甘さに周辺を見回してみると、議事堂上層バルコニーと側面の建物の屋上に、3人組の監視兼狙撃隊を確認。群衆の中の不審者を捜すために一生懸命双眼鏡を覗いている様子。でも帽子が光って目立っているけれど大丈夫?

 そして国歌斉唱。若い人は口をパクパクさせているか下を向いているだけでしたが、多くの中年層以降は胸を張って声高らかに歌っていました。 

騎馬隊

  ブラスバンド、騎馬隊と共に催し物に集まったハンガリー市民が、議事堂から国立博物館まで歩行者天国となったバイチジリンスキ大通りを通って行進します。もしかしてオルバーン首相も一緒に行進するか?

 国会議事堂から離れ裏通りを抜け、行進の先回りをして先頭集団を待ち伏せ。野生動物ならぬ本物のオルバーン首相が、楽団の後ろをSPに囲まれてのんびり政治家仲間と歩いています。群衆から僅か5m程の距離に。シャッターチャンスを狙うハンガリー人がサングラスをかけたこわもてSPに怒られながら首相を撮っています。家族連れの両親は“あれがオルバーンよ”と子供に教えています。私もファインダーに首相を捕らえながら一緒に国立博物館まで行進しました(あっちはそう思っていないけれど)。

気合の入ったSPそれにしてもあれほど気合を入れて仕事をしているハンガリー人(SP)を見るのは初めて。首相もいろいろ問題を抱えているので、就任当初から比べて国家リーダーとしてのパワーがなくなったように見えたのは気のせいか・・・

 40分程で国立博物館に到着。博物館の入り口には、寸劇のための準備が数週間前から用意されていました。舞台となる正面入り口の大階段周辺には、19世紀の服装を着て優雅に歩く出演者の姿がちらほら。ワイヤレスマイクを使った劇は非常に分かりやすく、革命が起こったその場所で革命の様子が再現され感慨深いものがありました。  

オルバーン・ヴィクトル首相

  劇が終わると特等席で観劇していた首相が3人の子供と手をつないで、砂利道に場所を陣取って観劇していた私の僅か2m前を通る。ヨー・ナポト(こんにちわ)と声を掛けるとヨー・ナポトと返してくれました。普段政治に不満を持つハンガリー市民も、首相が目の前に来ると拍手で歓迎。日本で森首相が、目の前を通ればやはり手を振ってしまうのかなと思ったりして。

 劇が終了、家に帰り残りの催し物はテレビの実況中継で確認。ペスト側のエルジェーベト橋近くはペトゥーフィ・シャーンドル像前の舞台でブダペスト市長デムスキー・ガーボルの演説の合間、革命の様子を抽象的に表現したモダン・ダンスが披露されました。ブダペスト市内の劇場や記念碑の前で他の催し物も行われ、地方もまたしかり。市内の通りの至る所ではハンガリー国旗が掲げられ、道行く人は胸に3色旗の記章を付けて誇らしげにこの記念日を祝います。

そんな中、日本では国旗や国歌の是非で揉めているなどということをハンガリー人に説明しても理解しないだろうなと思うのでした。


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